目次
【主訴】
突発性難聴
耳鳴
耳閉感
肩こり
胸やけ
お腹のゆるさ
40代 女性
【既往歴】
虚血性腸炎
白内障(手術済み)
【来院するまでの経緯】
2週間ほどまえに突発性難聴(低音性)を発病する。耳鼻咽喉科に受診をしてお薬を飲みはじめるが、聞こえにくさに変化はみられなかった。
その後、総合病院でステロイド注射をおこなうが、それでも症状は変わらず担当医師からは「かなり重症ですね〜。もう医学的にはやれることがありません。」と言われてしまった。
どうすればいいかわからず途方にくれるなか「せめて耳は聞こえなくなっても耳鳴りさえ治ってくれれば・・・」と悩んでいたところ、当院のホームページをみつけて来院する。
【初診の状態】
右腰部に筋緊張
右骨盤の可動域制限
左腰背部は膨隆
右首の筋緊張
【治療経過と内容】
骨盤まわりを触診していくと「右腰の筋緊張」がとても強く、右仙腸関節の動きがかなり低下していた。
首のサブラクセーションを見極めていくと、頸椎1番のサブラクセーションが副交感神経系にも悪影響をおよぼしており「甲状腺・胃腸・顎関節」にたいしても影響をおよぼしていることがみてとれた。
また虚血性腸炎を発症したことや、「お腹のゆるさ」がでていたことなどから、副交感神経系にしぼりアジャストメントを開始することにした。
初回の施術では、骨盤サブラクセーションをアジャストメントすることで首にかかるストレスが軽減して、「肩まわりがスッキリしました」とたいへん喜んでおられた。
2周目(2回目のアジャストメント)では、いまだ耳鳴りや難聴はあるもののアジャストメントをおこなうと「耳の閉塞感」はすぐに消失した。
★治療計画の変更★
施術によるよい変化はみられていたものの、突発性難聴が長くつづくと「聴覚細胞ーちょうかくさいぼう」が消失してしまい、聴力を回させることがかなり難しくなることから状態を見極めて「1日/3時間おき/3回のアジャストメント・週2回」の治療計画へと変更した。
2週目(3回目のアジャストメント)では、耳鳴りが小さくなりはじめて聴力が回復してきたため、本人も驚きとともに喜びを隠しきれなくなり笑顔がみられた。
3週目(4回目のアジャストメント)では、耳鳴りはさらに小さくなり、冷え症や肩こりも改善しはじめた。自覚的には「聴力が80%ほど回復した」とのこと。
4週目(5回目のアジャストメント)では、総合病院での聴力検査においても変化があらわれ正常値をしめすようになった。本人も「嘘みたーい!こんなに良くなるものなんですね。」と感動しておられたのが、とても印象深かった。
【考察】
もともと慢性的な頚部サブラクセーションや骨盤サブラクセーションにより、肩コリやお腹のゆるさに悩んでいた。
昨年には「虚血性腸炎 : 血流不全による腸の炎症」を発症されていたことから、副交感神経系にダメージがかかりつづけ「交感神経優位な状態」がつづいたことで血管が収縮して、消化器系の血流不全を誘発していた。また「交感神経優位な状態」によりリンパ液が過剰になり三半規管に悪影響をおよぼしていた。また胃酸の分泌が過剰になったことで胸やけもおきていたと考察。
総合病院での薬物療法やステロイド投薬の効果があらわれなかったのは、サブラクセーションにより脳と体がおこぬ情報のやりとりがうまくいかず、「病気を治す力」や「健康を維持する力」が低下していたため投薬をしても症状は改善しなかった。
もともと「音」というのは「空気の振動」である。人間はもともと空気の振動が三半規管に伝わりリンパ液をゆらすことで、有毛細胞が反応してその電気信号を脳へとどけることで、低音や高音などのさまざまな音を聞きわけている。
聴覚は劇的に回復したものの、5回目のアジャストメントを終えたあとにも「小さな耳鳴り」は残っていた。この症状の根本原因は、頚部サブラクセーションをかかえつづけたことにより代謝が上手くいかなくなり「リンパ液の粘度」が高い状態がつづいたことで、音が聞こえにくい状態がつづき脳がわずかな振動を感知するために異常興奮したことでおきていた耳鳴りだった。
定期的にメンテナンスをおこない、体がリラックスした状態をつづけることで「脳の興奮」が落ちつくとしつこい耳鳴も少しずつ消失していった。
根本原因を見極めてサブラクセーションをあるべき状態にアジャストメントすることで神経のダメージが解放されて、「脳と体の神経ネットワーク」が正しくつながり「病気を治す力」や「健康を維持する力」がきちんとはたらきだして、突発性難聴や耳鳴は根本から改善していった。
(柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 藤井康徳 監修)