目次
【主訴】
すべり症(ひざ半月板損傷・重症例)
40代 男性
【既往歴】
なし
【来院するまでの経緯】
数カ月前からデスクワークのために座っていると、左臀部が痛くなりはじめる。整形外科に受診したところ「腰椎分離すべり症」との診断をうける。
その1週間後に仕事の業務のためにトレーニングに参加していたところ、高いところから飛び降りたときに着地に失敗してしまい右ひざを負傷(半月板1/3を損傷)。
その後、ひざの手術をおこない「ケガの処置」はきちんとほどこせたが、腰痛が悪化したことにより「左下肢のしびれ」があらわれてしまい、病院でブロック注射や鎮痛薬による治療をうけたが症状に変化はみられなかった。
日常生活にもかなり支障がではじめて「どうすればいいのだろうか・・・」と悩んでいたところ、当院のホームページをみて来院する。
【初診の状態】
装具と松葉杖
ひざの可動域制限
右腰背部が緊張
左骨盤の可動域制限
【治療経過と内容】
骨盤まわりの触診をおこなうと「右腰背部の緊張」がとても強く、右仙腸関節の動きも悪くなっていた。さらに左PSISまわりに最大圧痛点と浮腫みがみられた。右短下肢があらわれていたものの、ケガの影響や手術による「構造上の問題」があるため評価の指標からは除外した。
もともと骨盤サブラクセーションによる腰痛がみられたことから、「体のバランスがゆがみきった状態」で激しいトレーニングをおこなったところ、体が思うように動かすことができず「不慮のケガ」につながってしまった。
来院したときには「ひざの手術後」であったため、サポーターを装着したまま痛みをやわらげるために「荷重バランス」も乱れてしまいかなり不安定な状態だった。
上記の「厳しすぎる状態」で、施術をほどこしてもすぐに寛解はないことは理解していたが、「ケガの回復」を優先させながら状態が悪化しつづけることでおこる、「医学的レッドフラッグ」の重篤な症状があらわれないための施術を開始した。
初回の施術では、アジャストメントにより骨盤サブラクセーションが解消したことで、歩くときの動作がおこないやすくなり「動きの変化」を感じていた。
1週目(2回目のアジャスト)では、施術したあとしばらくは症状がやわらいだものの、仕事をおこなうとふたたび症状が増悪してしまった。
2周目(3回目のアジャスト)では、初回にくらべてだいぶ症状がやわらいだものの「ケガの悪影響」による、「荷重バランスの乱れ」により症状の寛解と増悪をくり返すばかりだった。(ひざの術後処置のために、一時治療を中断する)
20週目(4回目のアジャストメント)では、初回の施術から数ヶ月たち「ケガの回復」が落ちついたため、本格的に「体のバランス」を整えるためのアジャストメントを施術を開始する。(この数ヶ月は、症状が落ちついていたとのこと)
21週目(5回目のアジャストメント)では、サポーターを除去して「荷重バランス」が安定しはじめたことで、アジャストメントによる効果が最大限に発揮されるようになり、つらい症状があらわれない日もでてきた。
22週目(6回目のアジャストメント)では、施術してから数週間は、つらい症状があらわれない日がつづくようになり、仕事にも自信をもってとり組めるようになった。
※現在では、つらいシビレはなくなり、業務がつづくと痛みを感じるものの「寝たらつらい痛みは治る」ていどのコンディションを維持している。(ここまで半年ほどの時間をついやした)
【考察】
もともと、デスクワークにより骨盤サブラクセーションがあり、体のバランスが「ゆがみきった状態」がつづいたところで激しいトレーニングをおこない、うまく体を動かせないことで大きなケガにつながった。
今回はひざの手術による悪影響から、腰痛がさらに悪化してしまい下肢痛もあらわれていたため、治療計画もかなり慎重に計画しなくてはいけなかった。
また「ひざの手術」による悪影響により、これからも「荷重バランスによる悪影響」がでやすく体のバランスはゆがみやすいため、「定期的なメンテナンス」をおこなうことで定年まで不安なく業務にとりくめるようにサポートを継続していく。
根本原因を見極めてサブラクセーションをあるべき状態にアジャストメントすることで、患者さんの「生まれてもった治る力」がきちんとはたらきだしつらい症状は根本から改善していった。
(柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 藤井康徳 監修)