「トムソン・テクニック」について

こんにちは。滋賀県大津市にある、まの鍼灸接骨治療院の藤井です。

今回は当院が専門にしている「カイロプラクティックの本質」や「カイロプラクティックの歴史」ついて、深くお話をさせていただこうかと思います。

やや長い文章となりますが「治療をうける意味」を理解したい方には、きっと役立つ内容になります。お時間のあるときにゆっくりご覧ください。

まずは当院で使用している「トンプソン・テーブル」についてです。

この治療テーブルは「ニュートンの法則(慣性の法則)」を応用して作られており、骨格のゆがみを安全かつ正確に整えられることができます。つまり、テーブルが落下したときに「第二の力」生まれて、その瞬間にゆがんだ背骨がスムーズに矯正されるわけです。これが、トンプソンテーブルの最大のメリットになります。

いまやこのテーブルは「年齢に関係なく骨格のゆがみが整えられる医療機器」として、世界の治療家たちにも愛用されています。海外ではトンプソンテーブルを駆使して、「手術をせずに背骨をケアする専門病院」があるほどです。

トンプソン・テクニックの特徴

トンプソンテクニックの特徴のひとつが「うつ伏せのままリラックスして治療を受けられる」ということです。

アジャストメント(矯正)をおこなう前には、あなたの健康問題の原因が、首にあるのか?腰のにあるのか?を見極めるために、「短下肢脚長差分析法-たんかしきゃくちょうさぶんせきほう」をおこない体のバランスを見極めていきます。

この分析をおこなうことで「どの背骨を、どの方向へ、矯正するべきか?矯正してはいけないか?」が明確になるため、あなたの健康問題を根本から解消することができます。

また施術をおこなうときには「患者さんの体重に合わせて調整されたテーブル」に寄りかかり、各ピースが落下した瞬間に生じる「最小の力」にもとずいたアジャストメントを提供してくれます。

つまりトンプソンテーブルにより、「最小の力」で「最大限の効果」を引きだすことができる、洗練されたアジャストメントを受けることができるので。

「安全」で「効果的」なアジャストメント。

トンプソン・テクニックの特徴のひとつに、年齢をとわず「安心安全なアジャストメントがうけられる」というメリットもあります。実際に当院では、3歳の子供から90代の高齢者の方までがケアをうけております。

体にかかるダメージが少ないため、痛みや恐怖を感じることなく、安心して神経バランスを回復させるためのケアをうけられるのが最大の魅力になります。

またトンプソン・テクニックでは、神経のダメージによりおこる短下肢と首を右左に向けたときの変化を見極めることで、体のバランスを「5つのパターンに分類」して安全で効果的なアジャストメントをあなたに提供します。

私たちの体にはもともと、「病気を治す力(自然治癒力)」や「健康を保つ力(ホメオスタシス)」などの素晴らしい力が備わっています。その力を妨げているのは、骨格のゆがみによる神経システムの乱れとなります。

カイロプラクティックの目的は、ただ骨をボキボキと鳴らすことではありません。

サブラクセーション(脱臼よりもすくないズレ)を、骨や関節面を使いあるべき状態に整えることで、「脳と体の神経ネットワーク」が正常にはたらくようにうながし、生まれ持った「生命の力」が100%正しくはたらくように、サポートすることにあるのです。

「カイロプラクティックの歴史」について

カイロプラクティックは1895年9月11日にもともと磁気治療家だったDDパーマーが、耳が聞こえないことに悩んでいた家政婦のハービー・リラードの背骨を矯正をおこない、奇跡的に耳が聞こえるようになったことからはじまります。

このような奇跡が、世界初のアジャストメントでした。

そもそも、歴史的にも有名な治療家たちも「背骨と健康には深い関わりがあるな」ということには気がついていました。実はヒポクラテスやギリシャの医師たちは、こんな言葉を残しています。

「背骨についての知識を深めなさい。あらゆる病気の原因がある。」

DDパーマーは「脳と体をつなぐ神経ネットワークこそがあらゆる病気の原因である」と考えて、医学を勉強するために何年もついやして「自然にできた病気は、自然の力により治る」という真実にたどり着きました。

この思想は、カイロプラクティックをおこないさまざまな健康問題を解消するためには、「欠かせない価値観(哲学)」となります。正統なカイロプラクティックをおこなう先生のあいだでは今でも、大切に受け継がれています。

その一方で、カイロプラクティックの発展を脅威とみなしたアメリカ医師会と製薬会社は、「危険なエセ医学」だの「野蛮な治療だ」という誤ったネガティブキャンペーンをおこないつづけました。その間、さまざまなカイロプラクターたちが「無実の罪」で投獄されたのです。

しかし、1976年に団結したカイロプラクティック団体は反撃にでます。「医師会がカイロプラクティックを撲滅するために、誤った情報をひろめている」ということでアメリカ医師会を訴訟したのです。

その裁判は15年間もつづき、法的闘争の結果、カイロプラクティック団体が勝つこととなります。アメリカ高等裁判所は「医師会の訴えには根拠がない」として破棄したのです。

この判決を境にして、カイロプラクティックは正式に医療体系の一部として認められはじめ、現在ではWHO(世界保健機関)公認の医療として、世界の40ヶ国以上で大学教育がつくられています。

今では、カイロプラクターは「脳と神経の専門家」としてさまざまな世界で活躍しています。

また現在にいたるまで、多くのカイロプラクティック技術が開発され、代替医療のなかではもっとも論文がおおくなりさまざまな研究がおこなわれています。

カイロプラクティックは「科学的な治療法」なのです。

カイロプラクティック技術は200種類以上あるといわれており、トンプソン・テクニックの他にも・・・

①ガンステッド

➁ディファーシファイド

③SOT(仙骨後頭骨テクニック)

➃ターグルリコイル

➃CBT

⑤アクチベーター

⑥ローガンベーシック

など、さまざまなテクニックが存在しておりそれぞれの良さがあります。

そのなかでも、1952年にJ・クレイ・トンプソン博士が開発したトンプソン・テクニックが、とても革新的でした。

J・クレイ・トンプソンについて

この素晴らしいテーブルを開発したのは「J・クレイ・トンプソン」という偉大な人物となります。

j.Cray.thompson D.C,,Ph.C 1909年7月8日~1995年11月27日

1909年7月8日に米国ワイオミング州のハートビルで生まれる。

1935年 26歳 結婚して娘をさずかる

1937年 28歳 重度の糖尿病になるものの、カイロプラクティックをおこない病を克服する。

1945年 36歳 感銘をうけてパーマー・オブ・カイロプラクティック大学に入学する。

1947年 38歳     カイロプラクティック大学を卒業してDCライセンスを取得。

1952年 43歳    ドロップピースをテーブルに取り付けて、テーブルの開発にとりくみはじめる。

1956年  47歳 トンプソンテーブルの開発に成功して、ウエルドン・ディアフィールド(1914年11月21日~1998年12月27日)とともにトンプソンテクニックを作りあげる。

1957年 48歳 デブンポートで自分のクリニックを開院する。

1958年  49歳 栄誉ある「カイロプラクター・オブ・ザ・イヤー」を受賞する。

※現在は孫娘のBeth Zogg DCが、Thompson Technique Foundation設立し、後任育成に励んでいる。

J・クレイ・トンプソンの物語

トンプソン先生が子どもの頃に、自分の父親が胆石症といわれて手術をすすめられたとがありました。父親は手術をすることが嫌だったのでカイロプラクティックによるケアを選びました。すると、なんと胆石症が治ってしまったのです。

この出来事が、トンプソンがはじめてみた「カイロプラクティックの素晴らしい力」となります。

その後、世界恐慌のなかトンプソン先生は波乱万丈の人生を歩むことになります。

もともと音楽の才能に恵まれていたトンプソンは、芸術家として生計をたてようとしていました。そんなある日、自分が重度の糖尿病をかかえてしまいます。

医師には「もうそんなに長くはないんじゃないかな」といわれたので、「医学で治らないのならカイロプラクターに相談しよう」ということになり、幼い頃に父親を治してくれた老カイロプラクターのもとを訪れました。

そして、数カ月ほど背骨のアジャストメントをうけつづけたところ糖尿病が治ってしまったのです。

トンプソンはびっくりして医師にその事実を話ました。すると、医師は「あるときは自然の力が、驚異的な力を発揮するのかもしれない」と驚いていたそうです。

感銘をうけたトンプソンは1945年に米国の格式あるパーマー大学へと入学して、公認ライセンスを取得してから17年間ほど教員として働きました。

そして、臨床をおこなうなかで「より安全な効果的なアジャストメント」を追求して、さまざまな改良をかさね続けたことで1958年に、初代トンプソン・ターミナルポイントテーブルを開発することに成功したのです。

初代トンプソンテーブル

※BJパーマーとJ・クレイ・トンプソン

https://youtu.be/_TlLbjFgQiY

※BJパーマーとターグルリコイル・テクニック

https://youtu.be/KMLXmyS_acw

https://youtu.be/cQmJpq_ydxA

https://youtu.be/AzjW2CndHwE

ちなみに最初は、ヘッドピースのドロップテーブルを開発しました。そこでトムソン先生の師匠である、BJパーマー(DDパーマーの息子)にこのテーブルをみせたところ、「これは素晴らしい。すべての骨格をアジャストできるテーブルを作りなさい。」と言われ、改良をかさねつづけて、初代トンプソンテーブルが完成したといわれています。

トンプソンから愛された日本人

この素晴らしいテクニックが日本に伝わったのは、ある一人の男のたゆまない情熱によるものでした。それが私の恩師であり、伝説のカイロプラクターといわれる塩川満章DC。日本カイロプラクティック界の第一人者です。

Mitsuaki Shiokawa D.C, 1947年12月18日

1947年12月18日に鹿児島で生まれる。

1972年に米国パーマー大学を卒業してDC(ドクター・オブ・カイロプラクティック)のライセンスを取得する。

ベネズエラにわたり同国ではじめてのカイロプラクティック・クリニックを設立。(将軍と国会議員に認められて、私設外交官として第一人者の地位を確立する)

日本に帰国してカイロプラクティック・クリニックとスクールを設立して、日本のカイロプラクティック発展に大きく貢献する。

ブラジルにもカイロプラクティック・クリニックを設立して、「南十字賞」を受賞する。

現在では日本における「正統なカイロプラクティック」のパイオニアとして、治療をおこないながら後進の指導もおこなう。また講演やテレビ出演などさまざまな方面で活躍をつづけている。

満章先生の兄は整形外科医であり「医学では慢性疾患は治らないから、アメリカでカイロプラクティックというものを学んでこい」と背中を押されて、わけもわからず渡米したことがすべての始まりでした。

ちなみに満章先生がアメリカで学生をしていたときには「ガンステッド・デイファーシファイド・ターグルリコイル」が主流だったので、トンプソン・テクニックは学校のカリキュラムに含まれておらず、卒後の研修としてしか学ぶことができませんでした。

当時のトンプソン先生は学校で20人ほどの生徒を集めて、一人一人丁寧にトンプソン・テクニックを教えていたそうです。

このような流れで、1973年にJ・クレイ・トンプソンと塩川満章がはじめて出会うことになりました。

当初ガンステッドテクニック(手で矯正する技術)を学んでいた満章先生は、「テコの原理」を利用して治療をおこなうトムソンテーブルに戸惑いました。

しかし、少しずつ「トンプソンテーブルの素晴らしい性能」に魅了されるようになり、トンプソン先生の付き人をするようになります。

その後、二人は意気投合することで日本や海外のさまざまな場所で、カイロプラクティックやトンプソンテクニックを広めるための公演活動をおこないました。

トンプソン先生は1974年から20年ものあいだ毎年、日本をおとずれて熱心に「トンプソンテクニックの技術や知識」を伝えてくれました。

こうして「D.D.パーマー → B.J.パーマー → トンプソン先生 → 塩川満章先生 → そして私へ」と、この素晴らしい知識や技術は、これからも受け継がれていきます。

日本にけるカイロプラクティックの現状

私の師匠である満章先生はもう75歳になりますが、まだまだ臨床の現場でバリバリと働いています。しかし、残念ながら日本ではいまだにカイロプラクティックの法整備化がすすんでいません。

トンプソンテーブルも全国には広がったものの、「正統なカイロプラクティック」をおこなうためには欠かせない、「①哲学-あり方・➁科学-分析力・③芸術-技術力」がまだ徹底されていない現状があります。

満章先生もときおり「アメリカでも80%のカイロプラクターが正しい施術をしていない。日本では90%のカイロプラクターが、原理原則にもとずいてアジャストメントをしていない・・・」と嘆くことがあります。つまり日本においては、本物のカイロプラクターは全体のわずか10%ほどしか存在していないのかもしれません。

さらに業界全体をみわたすと、ビジネス優先の治療院が増え続けることで、「高額回数券のトラブル」や「技術力不足によるトラブル」により、患者さんが被害をうけるケースも少なくはありません。

「あなたのニーズに合う治療院の選び方」についての詳細はこちら。https://mano-healthcare.com/aboutus/how-to-choose/

整体業界全体においては「結果をだせる治療家はわずか1%しかいない」ともいわれています。

もともと「3年で基礎、一人前になるのに10年」という業界でしたが、その価値観も残念ながら崩壊しつづけています。(悲しいね〜)

私は医療現場で修行をつみ、最後まで塩川満章先生から学びつづけてきました。だからこそ私は、「本当に治りたい」という方にだけ、真剣に向き合いたいと思っています。

人間の身体はひとつとしておなじものがありません。腰痛ひとつでも「治るための道筋」や「アプローチ方法」や「治るまでの時間」は、すべて人により異なります。だからこそ私は、簡単に「治りますよ」とも言えません。

治すのは私ではなく「あなたの体に備わっている生命の力」だからです。

カイロプラクターは、その力が正しくはたらくように、骨格のゆがみをあるべき状態に整えて、神経の流れを回復させるサポートをしているにすぎないからです。

これまで偉大な先人たちが築いてきた、「哲学-あり方・科学-分析力・芸術-技術力」この3つを受け継ぎつつも、さらに発展させることが私に与えられた使命だと感じています。

もし今、つらい健康問題をかかえて「どこへ行ってもよくならない・・・」とお悩んでおられるなら、どうか一度ご相談ください。

あなたの中にある「治る力」も、もう一度信じてみましょう。

※貴重なお写真は「Thompson Technique Foundation協会」から引用させていただきました。

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